テキストサイズ

最初で最後の恋

第22章 現実と向き合う

「そんな…

俺は自分が高校卒業したら働きたいって、自分で望んだことなのに…」


かすれるような声で呟く蓮。


でも、蓮のお母さんは首を横に振った。


「それはあなたがお母さんをずっと見てきたからよ。

普通に平凡な家庭で育っていたら、あなたはきっと大学に行くことを望んだはず。それに…



現に、こうして蓮は大学に進学してくれたわ」


「っ…それは…

母さんから離れるために、あえて金を使わせるために!」


「蓮はそんな子じゃない。

あなたは…とっても、優しい子だもの。



ね?」



お母さんの言葉に、蓮の心は崩壊した。

悪い意味ではなく、いい意味で。



蓮の頬から流れる涙は、喜びの涙。



これまでの呪縛から解放された安堵の涙。



蓮のお母さんは、蓮の頭をぽんぽんと撫でていた。
今まで、どれだけこうしたかったことだろう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ