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最初で最後の恋

第22章 現実と向き合う

お母さんは、ふとこちらに目を向ける。

あたしとぱっちりと目が合い、お母さんはにっこりと微笑んでくれた。


「彼女は…?」


「あ…あの、あたし…」


涙でぐしゃぐしゃの蓮だけど、お母さんから一度離れあたしの手を握ってお母さんのもとに連れてきた。


「彼女が…俺をここまで連れてきてくれたんだ。

高校に入った時から、俺の心は誰も信用できなくて…


でも、彼女…澪に出会って、全部が変わった。

何気無いことにありがとうが言える素直でまっすぐな性格で、人を悪く言ったりしない。

……すごく、優しくて柔らかい奴なんだ」



蓮の言葉に、お母さんはうん…うんと頷いていた。


「あなたが…蓮を救ってくれたのね。

あたしが良かれと思って突き放した行為が、蓮をここまで追い詰めてたなんて思わなかった。



でも…澪、さん?

あなたのおかげで、蓮は優しさを取り戻したのね。




本当に、ありがとう…」

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