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最初で最後の恋

第7章 本当の初めてをあなたに

「それはまた今度、ね」


そう言って笑って見せる神田くん。

その瞳の奥は本当は笑っていない気がしたあたしは、これ以上聞くことをやめた。


それよりも今は……


「澪…」


後ろからギュッと抱きしめられる。

彼の声が耳元で響くだけで、体中が電気が走ったみたいに跳ね上がった。


神田くんはあたしの体をくるっと自分の方に向けると、強い眼差しでこちらを見つめた。


「澪にとっては初めてで怖いことだらけかもしんねぇけど…

俺が傍にいるから。

優しくするから……」


そんな瞳で。
そんな甘い声で。


嫌です、なんて。




言えるわけがない。


言いたくない。






「…あたしの初めて。

全部もらってください」

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