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俺の運命の相手が、男だった件について。

第3章 ありえない脅しの件について。

「…─はぁ」

放課後。科学準備室前。

俺は中に入るのを未だに躊躇っていた。

あれから、放課後の事が気になって、まるで授業を聞いていなかった。

途中、考え過ぎて、もーサボろうかな。とか考えたが、玲に楽々見透かされ…

「言っとくけど、サボろうかな。とか間違っても思うなよ。
サボったら最後、まぢでお前の運命は終わるからな!」

目の前で指をさされなが言われると、玲でもさすがに迫力があり、「お、おう」と、答えるのが精一杯だった。

「…さっさと終わらそ。」

ウダウダ考える自分が何だかバカらしくなってきて、1つ大きく息を吐くと俺はドアをノックした。

─コンコン
「どーぞ。」

声だけ聞けば穏やかなモノだが、ドアを開けてみれば不気味な笑みがそこにある。

「………失礼します」

あまり柊の顔は見ないようにして、ゆっくりとドアを閉めた。

「やぁ、海津朔くん。…ホントに来てくれるとは思いませんでしたが、待っていましたよ。…そこのソファーに座って下さい」

椅子に座って、手を組ながら矛盾が生じる言葉を発する柊。

チラっとそれを確認して、促されるままソファーに腰を下ろした。

「で、ご用件は何でしょうか」

俺が座ったのを確認しても、すぐに話出さない柊に、さっさとしろよ、と目で訴えながら急かした。

「ハハッ…何ですか?その棒読みは」

可笑しそうに笑う柊に、不覚ながらもドキリとする。

朝のような、造られた感じの無い笑顔は何処までも眩しく感じられたからだ。

「…い、いえ…別に。」

その事に少なからず戸惑いを覚え、慌てて顔をそらす。

「本当に君は面白いですね…。朝はあんな口調だったのに…今は棒読みとは言っても、ちゃんと敬語で喋ってくれている。」

一旦、穏やかに目を細めた後、今度は妖艶な笑みを浮かべ口を開いた。

「…どうしてでしょうね。
人間というのは、初めて味わった感覚や、珍しいモノに興味を持ち、惹かれる。…僕にとっての君みたいにね。」

「……え」

コイツが何を言ってるのかさっぱり解らず、あんぐりと口を開ける俺を、何処か嬉しそうに眺めて、言葉を続ける柊。

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