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秘密の派遣業務

第39章 動き出した時間

紗江からの最後の手紙を受け取ってから2週間…。

桐沢は船の中で紗江の手紙を読み返していた。

『直哉さんへ。お元気ですか?私は…毎日寂しくて…直哉さんが恋しくて…凄く辛いです。私は今までずっと我慢してました…ワガママ言って困らせちゃ駄目だって…。それに…直哉さんが言った意味もわからなかった。待たなくていいって。会えなくて寂しい思いをするなら、新しい人生を笑顔で過ごして欲しいって…。今ならその意味もわかります。でもね…私は今、私の目の前にある幸せよりも、会えなくてもいい、私は直哉さんを選びたい。そう思うのはワガママですか?待つなって言われたけど…私は待ちたい!それもいけませんか?私は直哉さんからのたった一言の言葉が欲しいです。その言葉だけでいい。会いたいなんてワガママは言わない。だから…お願い…。返事ください。待ってます。

追伸…毎週土曜日の午後3時。島に向かう埠頭から島の方を見てます。直哉さんも時間があれば桟橋から埠頭の方を見て下さい。それだけで会えた気持ちになれるから…』

何度も何度も読み返した。

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