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引き寄せられるようにゆっくり歩き出す。

少しずつ縮まる紗江との距離。

桐沢「…紗江っ！」

思わず名前を呼ぶと同時に駆け出していた。

紗江「……な、直哉…さん…？嘘…ほ、本物？」

目の前に会いたくて会いたくて堪らなかった人が居る事がまだ信じられなくて…
動けない紗江に桐沢が駆け寄り…

桐沢「紗江っ！！」

ギュッ

力いっぱい抱き締める。

(紗江っ！！やっと…この手に…っ！)

胸が痺れるように熱くなる。

紗江「……あ……直哉さん…？っ？！…本当にっ？」

紗江の身体が震え出した。

焦がれ続けた温もりが2人を包み込んだ。

(…直哉さんだ…本物だ…)

涙が溢れる。

桐沢「…紗江…！」

抱き締める腕に自然に力がこもる。

しばらくそのまま時を忘れたように抱き締め合っていた。