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春の風

第3章 初恋 side.少女


私の病室を出ようというとき。
センセは、振り返って言った。

『僕はお姫様じゃないからね。名前は女の子みたいだけど。』

「ま、間違えたんです。お、王子様だ‥」

よく、こんな恥ずかしいことが言えたなって思ったものだ。

でも。

センセは、わたしのことなんて、気にしてないみたいだった。

だって。言ったんだ。

『王子様か‥。
僕はそんなヒーローにはなれないね。
どっちかっていえば。悪者だ。
まあ、世の中、王子様なんか居ないよ。』

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