
春の風
第6章 日常 side.少女
『柚衣ねぇちゃん、おはよ』
ちょうど、むかいのカーテンの男の子、健人くんが、私にあいさつをしてきた。。
「うん、おはよ。健人くんも、これから朝ご飯だよね。」
『うん。柚衣ねぇちゃん、一緒にお喋りしながら食べよっか。』
こんな感じの毎日を、わたし、夏樹柚衣は過ごしています。
喘息は、苦しい。だから、小さな頃は病院が本当に嫌だった。
けれど。
なんだかんだ、いつの間にか、入院は嫌じゃなくなってた。むしろ、病院は好きかもしれない。
大好きな九条先生。お兄ちゃんみたいな松川さん。お母さんみたいな田島さん。友だちみたいな看護婦さんに、兄弟や親戚みたいな他の患者さん。
みんなあったかくて、居心地もよい。ご飯も手作りで来たてでて、おいしい。
一緒に笑いあう仲間もいる。
わたしの家にないものが、ここにはある。
これで。
学校に通えさえできれば、何もいう事はないよね!!
