
春の風
第6章 日常 side.少女
でも、昨日。
九条先生は、もうそろそろ高校に行ける、そう言ってた。
あと一年しか行けない高校。
出来るだけ、みんなに会いたい。
嬉しい。
本当に嬉しい。
その反面。
また一度、退院して元の生活に戻るのかもしれないと思うと。
それはそれで、嫌だ。
きっと。全部の時間は登校出来ないだろうから、病院に入り浸ることは間違いない。
けれど、私がイチバン恐れるのは、一つしかない。
退院すれば、あの家に、戻らないといけない。
それが、どんなに苦痛だか。
誰にも分からないだろうな。
もとより、誰にも話すつもりはないんだけど。
