
春の風
第9章 回想 side.瑞香
そのあたりになれば、世間体が分かってくる。
実の母が亡くなったのは8つの頃だったが、しかもそれがあまりよい亡くなり方でないことは、周りを見るに明らかとなる。
語弊を生みそうだからあらかじめ言っておこう。
実の母が亡くなって、父はすでに新たな妻を娶っている。
要するに、現在。僕には義母がいる。
義母は決して美しくは無いが、令嬢であり、どこか気品があるような女だ。
彼女は、義母という身分でありながら、僕の方が父より彼女とは年が近い。
まるで『源氏物語』の光源氏と藤壺のようなものだろうか。
しかしながら。
僕の母は美しかったが、彼女は母には似ていないし。
あいつは、何より、彼女を愛してはいない。
彼女どころか。
母のこともそうだったように思えてならぬ。
実の母が亡くなったのは8つの頃だったが、しかもそれがあまりよい亡くなり方でないことは、周りを見るに明らかとなる。
語弊を生みそうだからあらかじめ言っておこう。
実の母が亡くなって、父はすでに新たな妻を娶っている。
要するに、現在。僕には義母がいる。
義母は決して美しくは無いが、令嬢であり、どこか気品があるような女だ。
彼女は、義母という身分でありながら、僕の方が父より彼女とは年が近い。
まるで『源氏物語』の光源氏と藤壺のようなものだろうか。
しかしながら。
僕の母は美しかったが、彼女は母には似ていないし。
あいつは、何より、彼女を愛してはいない。
彼女どころか。
母のこともそうだったように思えてならぬ。
