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私の掏明くん

第12章 掏明のいない日々



ピンポ~ン(インターホンが鳴る音)


千尋「誰、颯太かな…」


夕方の遅い時間
千尋の家に誰かが訪ねて来た
てっきり颯太が忘れ物でも取りに戻った
かと思ったが
ドアを開けてみると
そこに立っていた人物は…


千尋「どちら様…」

伸一「…よっ」

千尋「伸ちゃん、何で…」

伸一「ちょっと話したくて…」

千尋「…上がって」

伸一「お邪魔します」

千尋「…」


掏明の事は覚えていないが
伸一との事、結婚式での事は覚えていた
悔しいくらい恥ずかしいくらいに
はっきりと…


伸一「ごめん…急に訪ねて来たり」

千尋「…ううん」


顔を合わせずらくて
頭を下げ、ずっと俯いていた千尋
首は痛くなったが、そのおかげで伸一と
顔を合わせずに済んだ
だけど…


千尋「(小声)…指輪してない」


伸一の左手薬指
そこに結婚指輪はなかった
結婚が破談になったのだから指輪をして
なくて
当たり前だったが
まだ破談になったのが信じられなくて
不思議な気持ちだった…


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