私の掏明くん
第14章 辛い現実
千尋「他の人を当たるって…」
掏明「…」
千尋「掏明!?」
掏明「部屋で待とう」
千尋「…」
あれから
病室の前で見張っていたが
例の女性や子供以外が掏明のお見舞いに
来る事はなかった
というか
見張り始めて一週間が経つが
その間、あの女性がお見舞いに来る事は
一度もなかった
千尋「あっ、汗…」
掏明「…ありがとう」
千尋「これくらいしか出来ないから」
掏明「…」
ハンカチで
彼の顔を拭いてあげた
相変わらず顔色が悪く額には汗が…
その汗は意識がなくても彼が生きている
証拠だった
千尋「…」
掏明「…来たみたい」
千尋「えっ?」
ガラガラ(病室のドアが開く音)
ドアが開き
誰かが病室に入って来た
看護婦さんは少し前には入ったのを確認
していた為
看護婦さんではないと思われたが
念の為、カーテンに隠れ様子を伺ってい
ると…
千尋「(小声)あの子…」
一輝「…」