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不器用なタッシュ

第4章 シエロ

いつもだったら


『なっ!ふざけんな!何でもねぇよ!』


くらい言うんだが、そんな気になれなかった。


安岡が言ってる、通りだから…。


「まぁな…。」


その一言に


「えっ……マジ?」


おい!
自分で言っておいて、驚くなよ。


「ちょっと…作品に真剣に取り組んで、形作らないとな。」


いつになく深刻な様子に安岡は、何故か動揺を見せた。


「は…はは…奇跡かも…。」


「おい。それは大袈裟じゃない?」


それに、ちょっと涙ぐんでないか?


「いや…マジ嬉しいわ~。渡辺さんが嘉之のグラディーヴァになるのかもな…。」


「グラ…何それ?」


「こないだの画集に、書いてあったぞ!」


読んだんだ…偉いなオマエ。

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