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不器用なタッシュ

第6章 不安

不安もあってか、俺は話し出してると黙って聞いてた香織が


「締め切りいつ?」


「来週の金曜日。」


「…嫌じゃなければ、ご飯作りに来ようか?」


「…え?」


「あっ押し売りみたいだったら、あれだけど、洗濯とかもするよ!」


毎日来る気か?


「てか…香織も忙しいじゃん。」


「う…まぁ、私はベースがあるし、スケジュール管理しながら、進めてるだけだから…創作はさ…そんな訳にはいかないじゃない…。身を削るからさ…。」


香織は…知ってか知らずか…ピンポイントで、心を揺さぶる事を言って来る。


作品を作る側の気持ちも、状態も的確に理解してくれる…。


こっちから…『解ってくれ』と、言わなくても。


「は…は…やっぱり、お前って…。」


「なにっ!」


俺は人差し指を鈎の様に曲げ、香織の唇に押し当てて…


「この口、最強だよな…。」


「ひゃひ?」


香織は、真っ赤になって慌ててた。

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