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不器用なタッシュ

第6章 不安

翌日の土曜日から、香織は夜は俺のマンションに通いづめしてくれた。


俺はただひたすら、カンバスに向かって描き続けてるだけなのに、香織が毎日居てくれてるだけなのに…それだけで、一気に不安感が無くなった。


キッチンをたまに見ると、香織は毎日、ニコニコしながらご飯を作っていた。


何も言わないけど、香織だってかなり忙しい筈だ…。


でも、俺の為に必死になってくれてる君をもっと見たくて仕方なかった。


まともな恋愛をしてこなかった俺は、それが当たり前になっていた。


薄っぺらな『好き』より、命懸けの『行動』で見ないと信じられなかったんだ。


この一週間が俺の中で一番、香織の愛情を実感した時だった。




君はいつも俺の為に、必死でいてくれてたのに…。




俺は俺の世界で、君を構築してしまっていた。

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