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不器用なタッシュ

第6章 不安

駅で香織を待つ。


大抵時間通りには現れる。


「お待たせ!」


トックン…。


「おぅ。」


「スーパー寄って行っていいかな。」


「ああ。何もないしな。」


えへへ~って、笑う香織に胸の奥が穏やかになる。


材料とアルコール類を買ってマンションに帰る。


パスタとスープをテキパキと作ってくれた。 


本当に…一生懸命だよな…。


早く、返して行けるようにならなきゃ…。


不安と焦りが、芽を出してくる…そうなると余計、香織の気持ちが欲しくなる。


「出来たよ~!」


缶ビールとチューハイで乾杯し、出来立てのパスタとスープを一口食べると、本当に美味しかった。


凄いよな…香織は…


「今日の香織…カッコ良かったよ…。」


プレゼンしてる時の生き生きと毅然としてた姿を思い出す。


「えっ!本当!」


照れながら、微笑でいる。


「俺も、もっと頑張んないとな…。」


ただ回りに支えられてるだけで、何も形になっていない…自分一人も儘ならない状況なんだ。

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