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不器用なタッシュ

第6章 不安

少しして、香織が追い掛けてきた。


ちょっと焦ってる顔に、安堵感が湧いてくる。 


でも、腹の虫が収まらない俺は御手洗いの柱に寄りかかり、腕を組む。


「嘉之…。」


怪訝な声にカチンときて、そっぽを向いた。


香織は、俺の気持ちを解ってないのか


「嘉之…なに怒ってるのか分からないけど…自分のことに関わってくれてる方々が揃ってる中で…ぶ…そんな態度は良くないよ…。」


「………。」


俺より仕事かよ…。


仕事の為なら、誰でもあんなに笑い掛けるのか!


そっぽ向いたままでいると 


「嘉之…。」


「何で…アイツとばかり話してんだよ…。」


凄い楽しそうに…


「はい?そりゃ、これからお世話になるからでしょ!」


世話…広告作るだけだろ…。


ずっと側にいて、写メまで見る理由あんのかよ!


社会人の接待やコミュニケーション何て、俺の常識の範疇じゃない。


「それだけかよ…。」


どうしようもなく、理不尽な事しか言えない。

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