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不器用なタッシュ

第6章 不安

「彼女が君を想う気持ちは、君が一番分かってるだろう…。」


…解ってるよ…。


でも、どうしても感情が先走る…。


気不味くなって、オッサンの方に振り向き


「ご迷惑を…お掛けしました…。」


「また、今度ゆっくり話そう。仕事でも会うから。」


「はい…。」


オッサンが座敷に戻ると、香織は伺う感じで声をかけてくる。


「嘉之…あのさ…。」


このままじゃ収まらない…


「今日、来て…。駅で待ってる…。」


声が強ばってしまってる。


「うん…終わったら向かうね…。」


「………。」


ただ黙って頷いて、俺も座敷に戻った。


オッサンは何も無かった様に、他の連中と話している。


…大人の余裕ってヤツかよ…。


目線を外して、自分の席に戻ると、元木はまだ座っていて南さんと話していた。


自分の場所に、戻らないのか…。


「お帰りなさぁ~い!須永さん待ちくたびれちゃいますよぉ~!」


勝手にくたびれろよ!

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