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不器用なタッシュ

第6章 不安

いつもだったらチープに聞こえる『好き』って言葉を香織の口から欲しくて仕方ない。


香織は少し動揺している。


「…俺のこと…好き…?」


もう一度、聞き返す。


少し目を伏せた香織は小声で


「…好きだよ。」


言わせておいて、不安は拭えない。


「どれくらい…?」


今度は、驚いたみたいに目が見開いた。


「凄い…好き…。」


「凄いって?」


もっと具体的に、言ってくれ!


「大大大好き!」


「大大大って?」


本当に解らなかった…『好き』って…本当に好きって何なんだよ…。


香織は間をおいて、俺の目をジッと見て…


「命…。嘉之の為なら命掛けられるよ。」


トックン…。


心臓を鷲掴みされた。


そこまで言うとは、思わなかった…。


俺は一気に満ちる安堵感と、愛しさに衝動的に、香織を寝室に引っ張り込んだ。

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