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不器用なタッシュ

第6章 不安

先ずは、ベッドに運ぶ。


抱き抱えると、ちょっと痩せた気がする。


腕の中で、血の気のない顔で力が抜けきっている身体を大事に抱え込んだ。


「香織…目を開けろよ。」


まだ震えてしまう手で、ベッドに寝かして、楽になるよう服を緩める。


布団を掛けて、顔に掛かる髪を払う。


「香織…。」


このまま…失う事ないよな…。


ドックン…。


目を見開いて固まったまま、香織を凝視してしまう。


そこに


ブイ~ン…とバイブ音。


「俺だ!」


安岡からと、確信して急いで出る。


『クックッ…落ち着けよ、嘉之。』


「何で笑ってるんだよ!」


それどころじゃないだろ!


『いや~そんなに必死なオマエ初めてかもって!』


苛々すんなぁ~!


「でっ!解ったのかよ!」


安岡は笑いを堪えながら


『多分、貧血じゃないかって!知り合いの医療関係の人に聞いてみたんだけど、酷そうなら病院に連れてった方がいいって。』


貧血…どんなに、なるんだ?


「解った…サンキュ…。」


『また何かあったら、連絡しろよ。』


安岡は、そう言ってくれた。

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