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不器用なタッシュ

第7章 歪

『余り、彼女の心を試す様なこと、するんじゃないよ。須永くん。』


『彼女が君を想う気持ちは、君が一番分かってるだろう…。』


急にオッサンの言葉が、頭を過る。


携帯を握ってる腕が、ブラリと落ちた。


「何…してんだ…俺…。」


香織は、本当に一生懸命頑張ってる。


仕事で、オッサンに会うのは工程上当たり前なんだ。


「アホ臭い…。」


急に冷静になって、感情がトーンダウンする。


香織の体調も心配だし、しばらく会わない方がいいのかもな…。


ちょっと大人な気分になった気がして、気を良くして画材を買いに専門店に向かった。


マンションに帰る途中の駅で下車する。


個人が経営する店だから広くは無いが、年期は感じた。


マニアックな道具もあって、いつも店主の拘りを感じる。


油っぽい臭いが、妙に落ち着く。


狭い店を一周見渡して、絵の具三個とオイルを買って店を出た。

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