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不器用なタッシュ

第7章 歪

クチュ…チュ…。


「嘉之…。」


甘く呼ばれる声に、背中がゾクゾクする。


香織…。


抑制を掛けてた分、激しく唇を求めた。


「はぁ……息が…あっ…。」


息苦しそうな唇を解放して、首筋に触れていく。


小さく震える香織に、何とも言えない満足感が満ちてくる。


俺の腕の中で、望む色を染まる君をこのまま縛っておきたい…。


そんな欲望は許されないのか…香織の体温が冷たくなっていく。


「なっ…香織…?」


「ご…めん……気持ち…悪い…。」


顔が、また青白かった…貧血を起こしたみたいだ。 


「無理すんなよ…疲れてるんだろ。少し寝ろよ…。」


この時の俺は、香織を労りたいと思えた。


たった一言の『好き』が、無意識に俺を穏やかにさせていた。


「うん…ごめんね…。」


「いいよ…水持って来るから…。」


申し訳なさそうに、謝る香織…。


いつも気を使ってくれていた君に…
たった一言の『好き』が最後まで言えなかったのは……

失いなくなかったからなのか…




未だに…解らないんだ…。

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