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不器用なタッシュ

第7章 歪

握られた手首が痛いのか、香織は眉間に皺を寄せて辛そうに


「なに…私と梶さんが…何かあったと思ってんの?相手の会社の中だよ…。」


会社の中なら、何も無いと…思う訳無いだろ。


「場所なんて、関係ないだろ…。
なんで、アイツが香織を呼び止めるんだよ!」


一瞬、脳裏に二人だけで微笑む姿が浮かび…香織の腕を引っ張った。


「ドスンッ!ガッ!」


香織の身体と頭が床に叩き付けられ、音が響く。


足元に散らばった飴が、四方に散乱した。 


「痛い!いきなり何っ!」


痛みに耐える香織の上に覆い被さり、睨みながら見下ろす。


「俺だけ見てるんじゃなかったのかよ!」


「はっ?それとこれとは、関係ないじゃん!いつだって、嘉之しか見てないよ!だから、梶さんだって…」


そんな、言い訳なんか…


「聞きたくねぇ!」
「何で…しっ!」


押し付ける様に、強引に唇を塞ぐ。


口の隙間から、香織は声を震わせて


「仕事…だ…よ…。嘉…之のため…だよ…。」


必死の訴えも無視して、舌を絡める。


「ふぅ…んっんっ…。」


すると…ブルブルブル!!
携帯のバイブが、震えた。


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