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不器用なタッシュ

第7章 歪

香織は寝転がったまま動かない。


「香織、まってろよ!」


一言残して急いで出かける。


玄関に向かう時、コツンと何か足にぶつかったけど、気にもしないで飛び出した。


たくっ!兄貴タイミング悪っ!…あっでも、あの話し振ってみるか…。


俺は、本当に自分の都合しか考えてなくて、この時香織がかなり限界に近付いてきてたなんて、微塵にも思ってなかった…。


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待ち合わせ場所に行くと、兄貴は居酒屋で一杯ひっかけていた。


「よっ!お疲れ様~!」


「……預かり物は。」


「たく~!来た早々それかよ!お前も飲めよ。奢ってやるからさ!」

無骨な俺とは正反対に、社交的な兄貴。


司法書士と言う現実的な肩書き…俺は、そんな兄貴を小さい頃から羨ましかった。


でも、モテないんだよな。


前、付き合ってた女が兄貴を見た時


「結婚には向いてるかもしれないけど、若い時に付き合うにはつまらなそう~。」


って、言われてた。


なら、俺はその逆なんだろうけど。

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