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不器用なタッシュ

第7章 歪

ドアを叩かれた時点で、咄嗟に離れた俺は何事も無かった様に椅子に腰掛け、香織は書類を揃えてる振りをする。


気不味そうに俺を見た香織と目が合い、少し口端を上げると照れ臭そうに目を逸らす。


「あっ!渡辺さんお疲れ様です~!須永さん、全然連絡取れないんですもん!個展準備進んでますかぁ~!」


あ~相手するの面倒だから、そう言っといて距離を置いてたっけ。


「まあね…。」


「楽しみにしてますぅ~!」


胡散臭いな…。


「じゃあ私は、これで…。」


香織は、そそくさと部屋を出て行こうとした。


ちっ…ここで、約束を取り付けたいのに、元木邪魔だな。


挙句…


「須永さん!今日飲みに行きませんか?」


香織が目を見開き固まってる…なんとか追い出さないと…あっ!


俺は、ある考えが浮かんだ。


「いいよ。何時に何処?」


「やった~!じゃあ、後でメールしますね。」


「分かった。まだ打ち合わせしてるから、また後でね!」


「は~い!!渡辺さん、お邪魔しました~!」


取り敢えず元木は、部屋から出て行った。

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