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不器用なタッシュ

第3章 高校時代

放課後、美術室でいつもの様に描いてると、薄井が近付いて来た。


「須永くん!本ありがとう~。」


綺麗な紙袋に入れて返してよこす。


「あぁ~もう、いいの?」


「うん!助かった~。色々勉強しちゃった!」


照れ臭そうに笑う顔に、胸の奥がつねられた様な痛さが走る。


「また何かあったら聞いてよ。他にもあるからさ。」


「本当に!ありがとう~!須永くん親切だね!」


人による…限定だけど…。


そう言いそうになり、言葉を飲み込む。


「後ね、須永くん甘いの大丈夫かな?」


「甘いの?お菓子とか?大丈夫だよ。寧ろ大好きかも。」


何かに『好き』と言う事が久々な気がするな…。


「良かった~!お礼になるか分からないけど、クッキー作ったの!食べて貰えるかな…。」


手作りクッキー?


「マジ…?」


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