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不器用なタッシュ

第7章 歪

「須永…かずなり……ご兄弟ですか?」


元木は、ちょっと驚いた様に聞いてきた。


「そっ…兄貴です。」


「お兄様…。」


いきなりの兄貴の登場に、流石の元木も困惑気味な様だ。


状況を察した兄貴が


「じゃあ、入りましょうか!元木さん、お腹空いたでしょ?」


正直、兄貴の方が気が利く…優しく言われて、元木もまんざらじゃない顔をしている。


俺たちは、居酒屋の暖簾をくぐった。




お手拭きで拭きながら、メニューを見る。


「元木さん、イケる口かな?」


「はい~!そこそこイケますぅ~。でも、甘いお酒が好きです!」


「ははっ!やっぱり女の子は甘口だね~。」


香織は、明らかに辛口ばかり飲んでるけどな…。


兄貴が元木の相手をしてるから、正直助かった。


とっとと二人っきりに、させちまうか…香織も待たせてるし…。


俺はマンションに、早く戻りたくて仕方なかった。

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