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不器用なタッシュ

第7章 歪

「元木さん、ちゃんと片付いたから、気にするなよ。」


「分かった…。」


無表情のままの香織に、質問した。


「何で…泣いたの?」


眉が少し動く


「不安だったから…。」


そんな理由?


元木に対して、何かあるんだろ。


「不安…何が?」


香織は少し考えた様子で


「全然…帰って来ないから…。」


そんな子供みたいな理由を言う。


「はははっ!それだけかよ!」


たった数時間だ。


不服そうに唇を結ぶ香織に、俺自身の溜まってたが吹き出しそうになる。


「俺は…二ヶ月半、不安だったよ…。」


「えっ?」


言葉に出来ない程のあの時の不安と苛立ちは、言葉より行動になっていく。


香織を抱き締める腕に、力が入る。


「嘉之…。」


あの時…どれだけ不安だったか…香織に解るか?


だからと言って、感情のまま責めたら香織は消えるかもしれない…。

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