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不器用なタッシュ

第7章 歪

「でも、今こうしてるからいいや。」
「…つっ!」


抱き締める腕に更に力を込めると、香織は眉を寄せた。


「香織…。」


「な…に…。」


俺は香織に枷を填める…


「裏切るなよ…。」


「えっ。」


困惑した顔に、薄く笑って続けて言った。


「すっと…俺のこと見てるんだろ?」


「嘉…。」


目を見開いて、固まっている香織に覆い被さり唇を吸った。


わざとらしい音を立てた…。


この唇も身体も……俺のモノ…。


クチュ…クチュ…。


音が響く度、香織の身体は硬直した…。


何で…緊張してるのか?


不安のシミは、簡単に広がる…。


俺の服をギュッと掴んでくる手が、愛しく思えるのに、そこに込められた思いは知ろうともしてなかった。


「んっ…嘉…ゆ…き…。」


香織の身体が、重味を増した。


疲れたのか、寝てしまった。


腕の中の香織の顔をジッと見詰めて、俺の不安は穏やかさに変わっていこうとしていたんだ…。

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