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不器用なタッシュ

第7章 歪

「…汗すっげ…シャワー浴びてくるわ…。」


気がすむまで香織を抱き続けて、汗でびっしょりになっていた。


ベッドから出て、バスルームに向かいながら香織を見ると、うつ伏せたままピクリとも動かなかった。


俺は無意識に満足感を感じたみたいに、口端が上がる。



バスルームに入り、シャワーの栓を回し湯加減を調節した。


シャァァァ…。


シャワーを頭から掛かり、さっきまでの行為を思い返す。


香織は、ずっと泣いていた…。


「何で…泣くんだ…?」


満たされた筈の満足感は、みるみる不安感に変わっていく。


香織は、本当に感じてたのか?


不安感は、一気に飢渇に刷り変わる。


足りない…あんなんじゃ…2ヶ月半、不安で仕方なかった…。


きっと香織は、解ってない。


香織は2ヶ月半、何とも思わなかったのか?


次々と沸き立つ理不尽な感情は、今の俺には自己防衛で正当化される。



本当は…そっと抱き締めるだけで…幸せだった筈なのに…。

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