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不器用なタッシュ

第7章 歪

汗を流す程度で、部屋に戻ると香織がボソボソと呟いていた。


「はぁ…しんどい…。」


「まぁ…手加減しなかったらな…。キツい?」


「あっ…嘉…之…。」


疲れてまだ身動きが取れないでいる横に座り、頭を撫でながら


「俺は、まだやり足りないけどね。」


瞬間…恐怖に歪む、香織の顔。


ギリギリ…と胸の奥の痛みを無視して


「くっくっ!なんてな!流石に疲れたよ。4時か…まあ、明日は休みだし、昼間近くまで寝ててもいいよな。」


そう言って、うつ伏せの背中に重なる様に身を寄せて、耳もとで囁いた。


「俺のことだけで、いっぱいになった?」


「くっ…。」


俺だけを見てればいい…。


俺の事だけ、考えればいい…。


俺だけ心の中に、居ればいい…。


香織は、泣きそうな顔で言ってきた。


「わ…私は…いつだって…嘉之のことしか、考えてないよ…。」


言葉なんて…幻想に出来るんだ…。


「ホントかよ…。」

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