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不器用なタッシュ

第9章 霹靂

ガシッ!


必死で香織の腕を掴まえる。


「香織!?」


間違いなく、香織だった。


俯いて、固まっている。


「どうしたんだよ…香織?」


ゆっくりと…振り向いた香織の顔は…


泣きそうで…


「…嘉…之…」


声が、震えていた…。


ズキンッ…。


胸の奥に鈍い痛みが走る。


瞬間、脳裏に声が響く…


『このまま行かせちゃ駄目だ!』


口端が上がる…


「はははっ!香織、ビックリしただろ~!」


俺は自然と…笑顔を作っていたんだ。


「う…うん…嘉之…来てたんだね…」


俺が来てないと、思ってたのか…。


「久々だな~上のレストラン行かないか?お茶くらい飲もうぜ」


「…う…ん…」


香織は気不味そうに目を伏せて、腕時計をチラリと見た。


何か、用事あるのか?


でも、今日は帰らせないけどな…。


瞬間…俺の中で決めていた。 

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