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不器用なタッシュ

第9章 霹靂

「…どうしたの?」


シートベルトが邪魔で外して、ハンドルに両腕を乗せて、これからの予定を伝える。


「来月か、再来月辺りに、一端イタリアに行ってくる。今回は、下準備も兼ねてなんだけど、来年からは長期滞在する予定なんだ」


香織は目を丸くさせ


「凄いね…本当に本格的に動いていくんだ」


驚きながらも喜んでくれてるのは分かった。


だからこそだ…


「元は、香織たちとのプロジェクトのお陰もあるけどな…」


香織がいて、俺の目的が達成するんだよ…。


そんな気持ちも知らない香織は


「あれ…車どうするの?」


そんなのどうでもよくねえ?
とは、思ったものの確かにそれはあるなぁ…。


それに香織を俺の方に向けてられるし…


「ああ…来年は兄貴たちに貸すけど、様子見の時は…香織エンジン掛けといてよ」


「えっ!私が!」


「マンションに置いとくからさ、バッテリー上がっちまうしな」


香織はきっと断らないと踏んでいたから


「はぁ…分かったよ。じゃあ、またね!」


ほらな!
ついでに言っとくか…遅かれ早かれだしな…


「香織も一緒に行かない…イタリア…」


「えっ!私も!」


香織は思いっきり怪訝な顔をしやがった。

ムッとしながら俺は


「来年からで、いいからさ。香織行きたがってたじゃん!」


「どれくらい、居るの?」


「とりあえず…2年は居るな」


そう告げると更に憂鬱そうな表情を見せられて、胸の奥にまたドロッとしたものが込み上げてきた。

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