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不器用なタッシュ

第9章 霹靂

「そんな…いきなり…仕事もあるし…即答は出来ないよ…」


取り敢えず…予想通りの逃げ言葉。


そんなの想定の範囲だ。


「分かってるよ。だから考えて…」


香織は渋い顔をして


「分かった…」


まだ…時間はある…。
香織と過ごす時間を増やして、またこっちに目を向けさせていこう…。


深刻な表情をしたまま黙っている香織に、ゆっくと顔を近付けていく…。


「香織…」
「えっ…っ!」


香織のぷっくりとした唇に…
静かに自分のを重ねた。


かおりの緊張が凄く伝わってくる…
ほんの数ヶ月前なら、ちゃんと応えてくれたのに…。


軽く触れただけの唇をゆっくり離すと、香織は目をまん丸にして固まっていた。


ズキズキ…する…。


そんな胸の痛みを堪えながら、何度も何度も…


重ねるだけのキスをした…。

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