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不器用なタッシュ

第14章 発動

『堕ろす』なんて言わせい。

そんな憶測、無用なのも分かっている。

香織ならきっと――――。


「嘉之には、関係ない! 産むわよ! 産んで一人で育てるから!」


――――そう、『産む』と答えるだろう。


香織が前から『俺たちの』子供を欲しがっていたんだから。


「何で? 二人の子なら、二人で育てりゃいいだろ。今からイタリアの病院調べるよ。とりあえず、香織の御両親に挨拶行って……うちは、事後承諾でいいや!」


俺が楽しそうに次々と今後のことを決めていくと、香織は風船から空気が抜けるみたいに一気に力がなくなりだす。


「香織?」

「イタリア……まだ行くなんて……決まっていない」

「でも、企画が通ったら、会社命令に従うよな?」

「その時、考える……」


力なく答える香織の反応に、お腹の子が俺の見方をしているんだと思えた。


俺と香織の絆が、絶対に切れることがない証だ。

一人でなんか産ませない――――。

お腹の子は、俺のだ!


「香織……妊娠していたら、籍いれるよ」


「ちょっ……あ……!」


未来の契約をするかのように、香織の唇に自分のをそっと押し当てる。


「一緒にイタリア……行こう……」

「はっ……んふ」


永遠の縁を結ぶように――――

唇の隙間を割って舌を挿し込み、香織のに自分のを絡めていく。

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