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不器用なタッシュ

第14章 発動

甘いな――――。


香織の舌が、以前貰ったキャンディーみたいに甘く感じる。

あのキャンディーには、香織の夢と思いが詰まっていたっけ――――。


懐かしむように、味わうように――舌を転がしながら、香織の感じやすい箇所をくすぐっていく。


「はぁ……んっ……」

「香織……」


香織の吐息も甘くなってきて、自然と俺の首に腕を回してきた。


「あ……。はぁあ……」


舌先の愛撫に反応して零れる声は、ますます甘くなる。


互いの存在を求めあうように、香織からも激しく舌を絡めだす。


そうだよ――香織。

身体は正直なんだ。
俺たちが愛し合った感覚を忘れてはいない。

もっと、もっと――俺だけで塗りつぶしてあげるよ――――。


蕩けそうなキスを一旦止め、唾液で濡れたままの唇で香織の耳元や顎をゆっくりと咥えていく。


「んっ……」


香織の首筋に舌を這わせた瞬間だった――――。


「あぁ……小田切……さ……ん……」

「えっ……」


小田切――――!?

なんでここで、あいつの名前が出てくるんだよ!!


衝撃とショック、怒りが一気に衝き上がって、全身が爆発しそうな感覚に襲われた。


「あっ……」


香織自身も驚いたのか、目を見開いて固まっている。

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