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不器用なタッシュ

第15章 対決

こいつ――――ナニイッテンダ?


「言ったろ……君たちの6年間ごと引き受けるって」


『ロクネンゴト』――ソレッテ――――。


ニッコリ笑いながら簡単に言ってのける小田切さんに、堪忍袋の緒が切れた。


「そんなの許さねぇよ! 俺の子だぞ! 俺たちの6年は、俺たちのもんだ!」


6年っていったら、香織と出会った時から全てだぞ!
俺の生きてきた証の全てだ。
俺の人生のそのもなんだぞ――――!

それも俺の子どもまで、なんでこいつに根こそぎ奪われなきゃならないんだ!


「嘉之っ!」


怒り狂う俺を香織は叫ぶように呼んだが小田切は、そんな俺たちを諭すように話してくる。


「でも……それを手離したのは君だよ。大事な人はね……生きてる限り離れちゃいけないんだよ。絶対に、後悔する……」

「小田切さん……」


どこか思い当たる節でもありそうな小田切の言い回しに、香織は切なげに目を細めた。


こいつに何があったか知らないが、だからって俺と香織の6年間を譲ってやる訳にはいかねぇんだ。


何とか小田切に言い返したかったが、気持ちに反して言葉が上手く出てこない。


その間にも小田切は、用は済んだと言わんばかりに席を立つ。


「香織ん、行こう!」 

「企画が通ったら、香織は俺とイタリアに行くからな!」


これで勝ったと思うなよ。

イタリア行きだけは、お前は介入できないだからな――――。

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