不器用なタッシュ
第16章 切望
学生時代からの付き合いの安岡だから、俺のことを知り尽くしている。
だからこそ、全面的に俺の味方になることはない――――。
香織に新しい男が現れたって、仕方ないと思っているのだろう。
それも承知の上で、今回はお前に頑張って貰いたいんんだ。
「もう一度、香織と話がしたいんだ。安岡、頼む……香織をここに呼んできてくれないか?」
「嘉之……ちゃんと香織ちゃんと向き合って、話せるのか?」
「あぁ……せめて最後になっても、きちんと気持ちを伝えたいんだ。頼む安岡! お前しか頼める奴がいないんだ!」
俺は目から溢れそうな程、涙を浮かべて、床に額を擦り付けて土下座した。
今までにこんな姿は、誰にも見せたことがない。
だけど今だったら、何だってやってやるさ。
「わ、分かったよ! 分かったから! お前がそこまでして言うなら、俺が香織ちゃんを呼んでくるから。それまで変な気を起こすなよ!」
余りに必死な俺に、安岡も感情が高ぶっている。
「ありがとう……安岡」
期待に応えてくれた安岡の服の袖を握って、俺は俯いたまま肩を震わせた。
「お前なら……香織も信頼していると思うから」
「おう! 任せとけよ! 待ってろよ!」
気合満々でそう言って安岡は、勢いよく部屋を出ていった。
「あぁ……本当に、任せたぞ。安岡……」
そう――安岡は昔から香織と、妙に気が合っていた。
ちょっとムカつく、くらいに――――。
だからこそ、全面的に俺の味方になることはない――――。
香織に新しい男が現れたって、仕方ないと思っているのだろう。
それも承知の上で、今回はお前に頑張って貰いたいんんだ。
「もう一度、香織と話がしたいんだ。安岡、頼む……香織をここに呼んできてくれないか?」
「嘉之……ちゃんと香織ちゃんと向き合って、話せるのか?」
「あぁ……せめて最後になっても、きちんと気持ちを伝えたいんだ。頼む安岡! お前しか頼める奴がいないんだ!」
俺は目から溢れそうな程、涙を浮かべて、床に額を擦り付けて土下座した。
今までにこんな姿は、誰にも見せたことがない。
だけど今だったら、何だってやってやるさ。
「わ、分かったよ! 分かったから! お前がそこまでして言うなら、俺が香織ちゃんを呼んでくるから。それまで変な気を起こすなよ!」
余りに必死な俺に、安岡も感情が高ぶっている。
「ありがとう……安岡」
期待に応えてくれた安岡の服の袖を握って、俺は俯いたまま肩を震わせた。
「お前なら……香織も信頼していると思うから」
「おう! 任せとけよ! 待ってろよ!」
気合満々でそう言って安岡は、勢いよく部屋を出ていった。
「あぁ……本当に、任せたぞ。安岡……」
そう――安岡は昔から香織と、妙に気が合っていた。
ちょっとムカつく、くらいに――――。