不器用なタッシュ
第16章 切望
「まっ……あながち嘘じゃないよな」
本当に俺には、香織が必要なことは事実だ。
俺の気持ちは、ちっとも変っていないのに――――
「帰るから! 安岡さんも帰りましょう!」
――――香織だけ、変わってしまった。
「えっ! 渡辺さん!」
「どうなってもいいのぉ~?」
安岡にまで頭を下げたのに――――少しも話す気もなく、頭っから俺を拒否するのかよ。
そんな香織の態度に胸の奥がググッと圧迫されたみたいな感覚に襲われて、苦しくて――――感情のまま大声で叫んでやりたい気持ちを何とか堪えたが、怒りは収まらない。
このまま帰るなら、小田切だってただじゃおかないからな。
部屋を出て行こうとした香織は俺に背を向けたまま、負けじと言い返してきた。
「好きにすれば!」
「あいつも道ずれに、しちゃうよ!」
「えっ……」
俺がそう簡単に、このチャンスを逃す訳ないだろ――――。
恐る恐るこっちに振り向いた香織を俺は全身全霊で睨み付けた。
本当に俺には、香織が必要なことは事実だ。
俺の気持ちは、ちっとも変っていないのに――――
「帰るから! 安岡さんも帰りましょう!」
――――香織だけ、変わってしまった。
「えっ! 渡辺さん!」
「どうなってもいいのぉ~?」
安岡にまで頭を下げたのに――――少しも話す気もなく、頭っから俺を拒否するのかよ。
そんな香織の態度に胸の奥がググッと圧迫されたみたいな感覚に襲われて、苦しくて――――感情のまま大声で叫んでやりたい気持ちを何とか堪えたが、怒りは収まらない。
このまま帰るなら、小田切だってただじゃおかないからな。
部屋を出て行こうとした香織は俺に背を向けたまま、負けじと言い返してきた。
「好きにすれば!」
「あいつも道ずれに、しちゃうよ!」
「えっ……」
俺がそう簡単に、このチャンスを逃す訳ないだろ――――。
恐る恐るこっちに振り向いた香織を俺は全身全霊で睨み付けた。