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不器用なタッシュ

第16章 切望

妊娠していないの分かっていた癖に、あいつは俺と香織の『六年』を背負うとはったりを掛けてきたんだ。

あぁ言えば、もう俺が香織を諦めるとでも踏んでいたんだろ。

小綺麗な顔して、かなり腹黒いじゃねぇか!


「まぁ~流石にね。でも、それで終わったと思うなよ」

「どうする気? 目的は何よ……」

「目的~?」


冷蔵庫から缶チューハイを取り出して、プルタブを引く。


プシュッと炭酸が抜ける軽快な音を無造作に聞き流してから、チューハイを一口飲んだ。


「なんて事ない。小田切と別れて、イタリア来れば良いだけだよ」


そう、俺の目標は最初から最後まで変わらない――――。

変わってしまったのは、香織。

香織を変えたのは、小田切。

なのに――――。


「はぁ~だから……小田切さんとは、何でもないって言ってる……なっ!」


何でもないだって?

そんな訳、ねぇだろ!

俺は元々見せるつもりでいた『隠しアイテム』を香織の前に投げ付けた。



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