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不器用なタッシュ

第16章 切望

「俺が……どんな思いで……」


グツグツ――――グルグル――――吹き出した負のマグマが渦を巻いて、俺を飲み込む。


苦しくて、痛くて、辛くて――――バラバラに、壊れてしまいたい。


いや――――もう、とっくに壊れているんだ――――。


「嘉之……」

ならば――――。

「はぁ……。香織……小田切を守りたい?」

君と――――。

「あっ……は……い」

一緒に、壊れてしまおう――――。


激高した俺が余程怖いのか、香織は捕食されそうな小動物みたいに硬直している。


それでも、小田切のことは庇うんだな。


「ふっ……そんなに大事なの? 香織、相手に尽くしちゃうからなぁ~」


そうだ、香織は本当に尽くしてくれた。

ならば――――今はアイツのために何だってするんだろ?


嫉妬で頭が狂いそうになりながら、口元に笑みが浮かぶ。


「どうすれば……小田切さんに迷惑を掛け無いでいてくれるの……?」

「それは、香織次第だよ」

「私……次第……」

「脱げよ……。服」


俺の『命令』に、香織は目を見開いて息を飲む。


「た、体調悪い……。生理中だし」

「だから~? 香織、選択権有ると思ってんの!」

「くっ……」

「『小田切さん』助けたいんだろ?」


無理と分かっている癖に、必死に抵抗してくる香織を『小田切』の名前で追い詰めていく。


この光景、あいつに見せてやりたいな。

お前が香織を苦しめているんだぜ――――って。

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