不器用なタッシュ
第16章 切望
「誰だよ……」
このタイミングで、一体誰だよ――――。
まさか小田切じゃないよな?
警戒してドアの方に視線を移すと、鍵が掛かっていなくて人が入って来れる状態だった。
――――しまった!
勢いよくドアが開き、入って来たのは――――
「安岡……」
「安……岡さん……」
――――だった。
安岡は尋常じゃない様子に驚いて、目を見開いて俺たちを交互に見る。
「なっ! 渡辺さん……」
床に落ちているカーディガン、ボロボロになっている香織に姿に、安岡は俺を睨み付けてきた。
「嘉之……話し合いするんじゃなかったのか?」
「……してたよ」
「話し合いで、渡辺さんがこんな状態なのおかしいだろ! また無理矢理、言い聞かせようとしたんじゃいか!」
またって――――お前も結局お前も、同じなのか。
安岡を責めるように、冷たい視線を投げる。
「同意だよな……香織?」
こんな状況を招いた理由を香織が言える訳もなく、俯いて唇を噛んでる。
しかし安岡は、そんな香織の様子に苦しそうな表情を浮かべて言ってきた。
「渡辺さんの様子がおかしかったから、気になってマンション出ないでいたんだよ……」
「安岡さん……ふっ…ひっく」
安岡の言葉に安堵したのか、香織はさっきまでとは違う響きの嗚咽を漏らしながら泣き出す。
このタイミングで、一体誰だよ――――。
まさか小田切じゃないよな?
警戒してドアの方に視線を移すと、鍵が掛かっていなくて人が入って来れる状態だった。
――――しまった!
勢いよくドアが開き、入って来たのは――――
「安岡……」
「安……岡さん……」
――――だった。
安岡は尋常じゃない様子に驚いて、目を見開いて俺たちを交互に見る。
「なっ! 渡辺さん……」
床に落ちているカーディガン、ボロボロになっている香織に姿に、安岡は俺を睨み付けてきた。
「嘉之……話し合いするんじゃなかったのか?」
「……してたよ」
「話し合いで、渡辺さんがこんな状態なのおかしいだろ! また無理矢理、言い聞かせようとしたんじゃいか!」
またって――――お前も結局お前も、同じなのか。
安岡を責めるように、冷たい視線を投げる。
「同意だよな……香織?」
こんな状況を招いた理由を香織が言える訳もなく、俯いて唇を噛んでる。
しかし安岡は、そんな香織の様子に苦しそうな表情を浮かべて言ってきた。
「渡辺さんの様子がおかしかったから、気になってマンション出ないでいたんだよ……」
「安岡さん……ふっ…ひっく」
安岡の言葉に安堵したのか、香織はさっきまでとは違う響きの嗚咽を漏らしながら泣き出す。