不器用なタッシュ
第16章 切望
だけど安岡は、一番触れて欲しくないものを容赦なく叩きつけてきた。
「本当に? じゃあ言ってやれば良かったろ! たった一言『好きだ』って! いつまで過去のトラウマ引き摺ってんだよ!」
「それも、分かってんだろが!」
――――煩い! 煩い! ウルサァァァァァイ!
『好き』って言えなくなった理由を誰よりも知っている安岡が、俺の『傷跡』を抉ってくる。
「嘉之、逃げるな!」
安岡が何か言うたびに心臓にナイフが突き刺さって、血が溢れ出してくるみたいに、痛くて、苦しい――――。
「煩いっ! 分かったよ! 二人とも出てけよ!」
もうこれ以上、耐えられなくなった――――。
しばしの沈黙が流れる。
俺はもうこれ以上、何も受け付けないように目を閉じて固まっていた。
安岡も引き際だと察したのか『トラウマ』には触れてこなかった。
「とりあえず今日は帰る……。渡辺さん、途中まで送るね」
「あっ……」
香織の声に反応して目を開けると、小田切に関する書類が気にしている。
最後まで、小田切のことしか考えてないのかよ――――。
ドック、ドック――――胸の痛みが止まらない。
でももう、そんなものどうでも良い――――。
「本当に? じゃあ言ってやれば良かったろ! たった一言『好きだ』って! いつまで過去のトラウマ引き摺ってんだよ!」
「それも、分かってんだろが!」
――――煩い! 煩い! ウルサァァァァァイ!
『好き』って言えなくなった理由を誰よりも知っている安岡が、俺の『傷跡』を抉ってくる。
「嘉之、逃げるな!」
安岡が何か言うたびに心臓にナイフが突き刺さって、血が溢れ出してくるみたいに、痛くて、苦しい――――。
「煩いっ! 分かったよ! 二人とも出てけよ!」
もうこれ以上、耐えられなくなった――――。
しばしの沈黙が流れる。
俺はもうこれ以上、何も受け付けないように目を閉じて固まっていた。
安岡も引き際だと察したのか『トラウマ』には触れてこなかった。
「とりあえず今日は帰る……。渡辺さん、途中まで送るね」
「あっ……」
香織の声に反応して目を開けると、小田切に関する書類が気にしている。
最後まで、小田切のことしか考えてないのかよ――――。
ドック、ドック――――胸の痛みが止まらない。
でももう、そんなものどうでも良い――――。