テキストサイズ

不器用なタッシュ

第17章 強行突破

「てか、俺のイタリア行き早すぎるだろ!」


最後のチャンスが潰された上に、俺が日本から離れるのが早まっただけじゃないか!

流石にヨーロッパレベルの経済まで、俺の力ではどうにも出来ない。

企画がお釈迦になっても、香織にイタリア見学くらいさせてやれよ!

イタリアにさえ連れていければ、何とかなったかもしれないのに――――!


「そっか……その手があるよな……」


多少、荒業かもしれないが背に腹は代えられない。

ここまで来たら、使える手段は全て使ってやるさ――――。


こういう時、やたら俺は頭が回る。

作品を描く時も、これくらい素早くアイデアが浮かんでくれたらいいんだけどな。


そんなこと頭の中で適当に流しながら、ある人物へ連絡を取った。


携帯のディスプレイに表示されているのは――――『安岡』だ。


こないだの件からまだ大して日数は立っていないけど、今回の『頼み』なら安岡もすんなり引き受けてくれるだろう。


安岡はそう言う奴だ――――。


電話は少々気が引けるけど、メールだと文字に残るから仕方がない。


通話ボタンを押し、呼び出しのコールが微かに響く。


数回鳴ったところで、安岡が電話にでた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ