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君と描き始める未来に

第2章 指輪と混乱と我慢

「手…動いた…。ナースコールを!」


母親に叫ぶ。


「香織!」


香織は、もう片方の腕も上げようとしていた。


あぁ!意識が戻って来たんだ!


でも、その喜びは一抹になる。 


「ポス…。」


力尽きた香織の腕は、布団の上に乾いた音をさせて…落ちた。


「えっ…香織…。」


嘘だろ…約束してくれたよね…。


一人にしないって…。


「香…織…香織ぃいい!」


「小田切さん!先生が来たから!」


バタバタとドクターとナースの足音が聞こえだが、俺は必死で彼女の名前を叫んだ。


「香織いぃぃっ!」


「今、看ますから離れて下さい!」


ベッドから離され、医師達の動きを震えながら見守った。


香織!香織!


心の中で、ひたすら名前を繰り返す。


そして数分後…香織は瞼を開き、意識を取り戻した…。


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