身代わり妹
第6章 暗転
元々少ない荷物は、旅行鞄一つに収まった。
中学卒業と同時に働き出したのに、
こうしてみると私のものなんてものすごく少ない。
テーブルの上に、寮の鍵を置く。
9年間、私の身体と心を休ませてくれた部屋。
二度と…戻ることはないだろう……
紙袋の中のお金を少しだけお財布に入れて、残りは銀行に預けた。
その通帳と印鑑を、由美さん宛に郵送する。
その中に、
由美さんと凌太宛の手紙を同封して……。
『散々お世話になったのに、恩返しする事も出来ないままでごめんなさい。
私が母と姉から逃げ出せば、凌太に多大な迷惑を掛ける事になると思います。
本当に本当にごめんなさい。
これから先、お二人に掛ける負担を思えば、全く足りないけれどせめてもの償いです。
本当にごめんなさい。
凌太と姉が幸せになる事を祈っています。
瀧川 美優』
中学卒業と同時に働き出したのに、
こうしてみると私のものなんてものすごく少ない。
テーブルの上に、寮の鍵を置く。
9年間、私の身体と心を休ませてくれた部屋。
二度と…戻ることはないだろう……
紙袋の中のお金を少しだけお財布に入れて、残りは銀行に預けた。
その通帳と印鑑を、由美さん宛に郵送する。
その中に、
由美さんと凌太宛の手紙を同封して……。
『散々お世話になったのに、恩返しする事も出来ないままでごめんなさい。
私が母と姉から逃げ出せば、凌太に多大な迷惑を掛ける事になると思います。
本当に本当にごめんなさい。
これから先、お二人に掛ける負担を思えば、全く足りないけれどせめてもの償いです。
本当にごめんなさい。
凌太と姉が幸せになる事を祈っています。
瀧川 美優』