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身代わり妹

第7章 喪失

居ても立ってもいられない。

今すぐにでも迎えに行きたい。


でも、

今日も秋村病院は忙しい。

抜け出すのは難しいだろう。



夜にでも、美優の所へ行こう。

白衣の下のワイシャツの胸ポケットにしまった、美優の住所が書かれた紙。

そこをそっとなぞる。


指輪……そうだ、指輪も持っていこう。

ずっとお預けだったプロポーズ……今夜こそするんだ。



美優……早く会いたい……。


何で今日はこんなにも時間が経つのが遅いんだ。


早く……

時間が過ぎればいいのに……。




「凌太っ‼︎ 」

院長である父が慌てて診察室へ入ってきた。

普段冷静な父がかなり慌てている。


「大学病院から連絡が来た」


大学病院?

その名前と父の動揺した態度に嫌な胸騒ぎがする。



「美姫さんが……」

「─────…っ⁉︎ 」


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