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身代わり妹

第8章 本心

<side 凌太>


大学病院へ車を飛ばす。


たくさんの管に繋がれた美姫の姿に、母親が縋り付き泣き崩れた。


「美姫ちゃん‼︎ あぁぁぁぁっ、美姫ぃぃぃぃっ‼︎」


美優の母親は、大学病院に出入り禁止を食らってから、寮に篭っていた。

美姫の危篤を知らせ、ようやく部屋から出て来た。


久しぶりに見る美姫がこんな姿じゃ流石に堪えるよな……。



美姫の身体は、度重なる治療拒否に耐えられず、かなり体力が落ちていた。

それなのに、懲りずに治療拒否を続け、一気に症状が進んでいた。



「移植すれば治りますか? すぐに美姫ちゃんの妹を連れてきますから! 美優は元気だから! 美優の心臓を移植すれば美姫ちゃんは助かるでしょ⁈ 」


─────は?

美優の心臓を移植?

取り乱してるとはいえ、何て事を平気で言いやがる……。



「お気持ちはわかりますが、元気に生きている人間から心臓を取り出すなんて……」

担当医も返答に困っている。



「美優には小さい頃から言い聞かせています! 美姫にもいざとなったら美優の心臓をあげるからと約束してるんです!」


……マジかよ……?

美優……そりゃ逃げ出したくもなるよな……。

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