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身代わり妹

第9章 再会

姉と母の元から逃げ出してから、

私は、以前凌太が一度だけ連れて来てくれた…海のある街へとやってきた。


手持ちのお金は少なくて、比較的安めの旅館を探して泊まった。

その晩発作を起こした私を看病してくれた女将さん。

私の話を聞き、旅館に住み込みで雇ってくれた。


あれから、もう1ヶ月も経つ。



あれだけ苦しんだ吐き気は、

実はつわりだったようで、少し前に嘘みたいになくなった。


発作はかなり減ってはきているが、目眩や貧血で倒れる事はしょっ中だった。



心配してくれた女将さんに連れられて行った開業医。

そこで妊娠を知らされた。


もう4ヶ月に入っていて、先生にも女将さんにも驚かれた。

ずっと生理が来てなかったのに、発作の体調不良からだと私自身疑いもしなかったんだ。

今、お腹の赤ちゃんは14週目。


季節は真冬。

でも今日はポカポカと気持ちがいい。


(今日は暖かくていいお天気だよ。少し遠いけど、歩いて帰ろうか)

お腹を撫でながら心の中で話しかける。


どんなに辛くても悲しくても、

私はこの子の為に生きるんだ。




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