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身代わり妹

第1章 苦悩

「送ってく」

凌太が由美さんからタッパーの入った紙袋を受け取る。

秋村病院の真裏に建つ秋村邸。そこから社員寮までは歩いて5分の距離だ。

「送ってもらう程の距離でもないですけど……」

そう言いつつも嬉しさに顔がニヤける。


「美優、またいつでも来てね!」

涙目の由美さん。


─────"可哀想"


私と凌太が付き合っていた事は、秋村病院のスタッフの殆どが知っていた。

だから、姉と凌太が付き合い始めて、スタッフの人たちがそんな目で私を見るようになった。


由美さんもそう思っているのかもしれない…。


いつも太陽のように輝いていて、周りを照らすような素敵な笑顔の由美さん。

私といると、その笑顔を曇らせてばかりだ。



「いつもすみません…。ありがとうございます」

無理矢理作った笑顔を由美さんに向け深くお辞儀をし、秋村邸を後にした。

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